私たちは、辺野古への米軍基地建設についてそれぞれの生徒さんが抱く大切な「思い」を、生徒さん同士で、また現地スタッフと共有・発展させる場を修学旅行向けプログラムに加えることに致しました。
少人数グループでじっくり話し合うことにより、参加者の問題意識がさらに高まり、沖縄で起こっていることを「自分の事」として考える「きっかけ」を作れるのではないか、と考えています。
「語りあい」では、
・みんなが語り合いの主役となるよう、参加者一人一人が必ず発言できるプロセスになっています。(1グループ10人以下です。)
・「話し合いのルール」を学び、お互いを尊重する楽しい雰囲気を作ります。
・各テーブルでファシリテータースタッフが話し合いをリードし、基地問題についてわからないことはサポートします。
・話し合いを通して新たな思いや考えを生み出せるプロセスとなっています。
受け入れ可能人数:10名~50名まで(それ以上の人数はお問い合わせください。)
所要時間:2時間半~3時間
料金:4500円/人 講話資料代込み
①大浦湾に面した瀬嵩の浜で30分程環境・基地についての講話をききます。
②近隣施設に移動し、7人~10人のグループに分かれて、講話の感想や質問などを話します
③話し合いのテーマに沿って、それぞれの考えを紙に書いて貼りだし、発言します
④話し合いが終わったら、感想を書きます。時間があれば、各グループの話し合いを発表します
(プロセスは変更になる事があります)
このプログラムが作られるきっかけとなったのは、2019年に沖縄国際大学の比嘉理麻先生とじゅごんの里で共同開催した「沖縄まんちゃー会議」です。
ゼミの学生さんを連れて、じゅごんの里の自然体験に参加された比嘉先生と私(松井)が話し合う中で、「若い人と自分たちの思いがなかなか繋がらない」という共通の課題をなんとか解決する方法として、専門家やキーパーソンの講話やパネルディスカッションを受け身で聞くだけでなく、一人一人が主役となって、話し合いをする時間を持ってみてはどうかと、まんちゃーつまり、色々な世代や立場の違う人々が話し合う場を持つことにしたのです。
第1回まんちゃー会議では映画「人魚に会える日」の抜粋の上映後に、宜野湾の沖縄国際大学の学生、名護の名桜大学の学生、じゅごんの里のスタッフ、宜野湾市の緑ヶ丘保育園の保護者、名護市の母親世代、などが参加し10名以下のグループに分かれ、テーマを決めて話し合いました。
それぞれが、映画を見ての感想、また自分の生い立ちや生活環境を通して感じている基地への思いを吐露し、私たちはそれぞれの想いを真剣に聞いてくれる相手との出会いの中で、これまで思いもしなかったような深い相互理解を感じることができたのです。参加者は、若い人も、年配の方も、口々に、「立場の違う人と話し合えて良かった」、「もっと学びたい」、「もっと考えを深めたい」と感想を述べていました。(まんちゃー会議は第2回まで開催)
この経験を経て、じゅごんの里として修学旅行で訪れて下さる中学生から大学生の皆さんと、年齢も生い立ちも違うスタッフとの話し合いを行い、相互理解による、深い学びへの誘いをめざしたいと考えて始めたのが、この語り合いプログラムです。
2019年秋に、早速、和光高校のゼミの皆さんをお迎えして、プログラムはスタートしました。最初の年の話し合いは私たちスタッフにとって大きな衝撃でした。
私(松井)は生徒さんから沖縄の基地負担について「国益のためなら少数の犠牲はしかたない」とはっきりと言われ、あまりのショックに言葉が出ませんでした。
かろうじて、その考え方には賛同できないことを伝えるのがやっとでした。しかし、その生徒さんはひどくショックを受けているわたし見て、顔を真っ赤にしてさらにショックを受けている様子でした。自分の考えが沖縄に住む私たちにとってどんな意味を持つのか、理解したようでした。
今となれば、あの出会いはこの生徒さんにとって、きっと考えを深めるきっかけになったと信じています。私も、なぜ、このような考えを高校生が持つようになったのか、もっと知りたい、という思いに変わっていきました。
また、ほとんどの皆さんが日本はアメリカに守ってもらっているから、米軍基地は必要、という考えであることにも、私たちは大変驚きました。沖縄にいると、米軍に守られている感覚は、全く無いからです。
わたしたちスタッフはこの数年間、プログラムの実施前、実施後にミーティングや研修を重ね、話し合いの方法を確立していきました。
正直、毎年来て下さっている和光高校に育てて頂きました。大変感謝しています。
また、京都の大学のゼミ、東京都、福岡県の高校にも継続的にご利用いただいています。
これまでの話し合いで「失敗」という事は一度もありません。皆さん、真剣に話を聞き合い、いつも私たちの願う、「出会い・学び・考える」が実践できているように感じています。
スタッフは辺野古基地問題を日々真剣に考えている沖縄に住む20代~60代。それぞれ様々な職業や生い立ちを持っています。
同じ年代の大学生がスタッフの方が話しやすい、とお考えの先生もいらっしゃるとは思います。でも、私たちスタッフはみな、参加者からの様々な思いを大切に、どうして?なぜそう考えるようなったの?と質問しながら、最後には心を通わせることができていると自負しています。皆様に出会えることを心待ちにしています。
2024年8月 プログラム責任者 松井ちえ子
福岡県 中学校 先生より
実施プラン:ビーチコーミングと講話&ディスカッション
あの場所でしか出来ない貴重な体験をさせていただき、ありがとうございました。
生徒たちの書いた感想文を読むと、講演・ディスカッション・ビーチコーミングのどれも、それぞれの心を強く揺さぶる経験であったことがよく分かりました。
私も生徒たちと一緒にディスカッションに参加させていただきましたが、ファシリテーターの方がユーモアを交えながら楽しい雰囲気を作って下さるおかげで、子供たち自身ものびのびと自分の考えを表明できていたように思います。
またビーチコーミングで製作したそれぞれのペンダントは、豊かな自然やその中に不自然に存在するサルベージ船の風景と結びついて、決して代えの効かぬ宝物になったのではないかと思います。翌日福岡に帰るまで、あのペンダントを首に提げた生徒が何人もいたことも、その証であると思います。
東京都 高校生
実施プラン:グラスボート&講話 ディスカッション
講話で一番心に刺さったのは、普天間基地と辺野古基地のこの問題を「移設問題」と言って欲しくないというお話だ。
移設することが解決ではない、と新たに考えることができた。ディスカッションでは、基地はどうなっていけばいいと思う? という議論もした。
今まで賛成か反対かでこの問題を考えていた私にとっては少し難しいものだったがとてもいい議論だったと思う。基地についてどう思ってて賛成、反対を考えるのかも大事だけれど、どうやっていけばより良いのか自分なりに考えていかなければいけないと思った。
また、ファシリテーターさんが、自分の口でどう考えるかを伝えなければいけないと仰っていた。浅い知識でも、後悔しても、自分の考えを口に出すことで深く考えることができるのだと感じた。